2021-10-02 23:24:49
「主様、お仕事をもっといただけないでしょうか」
ある日、蒼生大和の癒し娘達がそんな事をいってきた。
「……お前達は十分働いていると思うが」
「主様には到底及びません」
「……物いりか?」
「……はい」
「ふむ」
草薙は考える。
彼女達は既に十分仕事をしている。
昼は任務、夜は……夜の働き。
尽くすように働いている彼女達。だが、彼女達の賃金は決して高くない。
彼女達が自由に使える金額は、日本の平均男性よりずっと低いだろう。
それでも奉仕を旨とする彼女達が個人的にお金を欲するのは珍しい。
(いやそもそも……)
「何に使う?」
「……資格をとろうと思います」
「何の資格だ?」
「癒すための資格です」
「ふむ……」
そもそも予想はしていた。
――個人的に使う金ではない。
むしろ逆。蒼生大和の、配下の女の本質は奉仕。
誰かのために使うお金だという事を。
「心理学の資格は持っているが」
最も資格の有無などたいしたものではない。
「食育と栄養の資格です」
「……健康に関する事か」
なるほど、そっちか。
「別に資格をとらなくても、そっちの知識は十分ある。既に知ってる事も多いと思うがな」
最も、それは心理の方にもいえるが。
「そうかもしれません……ですが」
「……私め達は主様を、日本人を……人々に奉仕するのが役割です」
「私め達は決して強くもかしこくもありません。そんな私め達が皆様の力になるには……」
「皆様のお力になれる事は少しでもやりたいのです」
乳がでかかろが、優しかろうが可愛かろうが美人だろうが彼女達は――
(いつやられるかわからんからな)
――本質的にザコなのだ。
彼女達は自分自身の無力さを知っている。
故にやれる事はやっておきたいのだろう。
「主様もやれる事はなんでもやっておられます」
「支えるために、資格のために金がいるから更に働きたい、つまりそういう事だな」
正直、彼女達を使って金を作るなら方法はある。
だが――
「――支援金」
今回はこれがふさわしい。
「えっ?」
「支援金で資格をとる」
「そ、それは……」
「主様からの支援金、という事でしょうか?」
「まさか、癒すための資格を補助するために」
「そんないけません! それは主様の大事なお金!? 私め達如きに」
「そんな、これ以上主様にお手間をかけさせるわけには」
「日本人を、人を癒すためなんだろう?」
「「は、はい!」」
「「主様に誓って」」
「ちゃんと奉仕で返すって事だ。これ以上ない支援金の使い方だと思うぞ」
「主様からの……」
「支援金……」
若干変則的な使い方だが――
「――それもまた良し」
それに彼女が癒すのはこの蒼生大和の■である■■が■■したものだ。
それが結果として多くの■■■を助ける事になるのだ。
■■という存在も色々な意味で癒しが必要なのだ。
そのための助けになるというなら、十分ありなのだろう。
癒し娘達は本気で俺を――日本人を癒そうとしている。
癒しのプランは、複数の心理学の資格を取得した上で作っている。
……だが資格の有無など正直大した事ではない。本当に必要なものに比べれば。
本当に必要なのは知識や資格の有無ではない。
大事なのは――心から相手を想う事。
食育や栄養に関する知識、資格。
これは一つの価値に過ぎない。
本当に大事なのは――心から相手を癒そうという気持ち。
――優しさなのだ。
――奉仕の心なのだ。
彼女達にはそれがある。
大変な時代だ。
日本人が、多くの人が苦労する時代。
寂しい時がある。
悩みがある。
「――あなたを少しでも癒すのが私達の役割です」
「このご恩、かならず主様にお返しします」
彼女達は誠心誠意、言葉を紡いだ。
彼女達が所属するのは蒼生大和。
蒼生大和の主は「無道」。
日本を守るために、日本人を救うために手段を選ばない存在。
彼女達はその配下。
無道が人を救うために手段を選ばないなら、その忠実な僕たる彼女達もそれに倣う。
日本人を、人を癒すためにはなんでもする――それが蒼生大和の癒し娘だった。
「私め……私達の全てを使ってご奉仕します」
癒しの女達がズラリと並んだ。
苦しい時に。
寂しい時に。
癒しが欲しいその時に。
あなたを癒す日の光でありたい。
水のように優しく、風のように柔らかく。
私達は癒しの杜。
「あなたを癒すために全てを捧げます。
あなたに仕え、あなたを肯定します。
あなたの全部、私に受け止めさせてください」
癒し娘達の純な祈りが響いた。
――資格取得。
とても現実的な選択。
地に足のついた資格。
それを彼女達は日本人を癒すために取得する。
――現実に
――真実に
――本気で
――あなたを癒したい。
そんな彼女達の気持ちがあらわれていた。
この娘達、本気であった。
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あとおっぱいがでかい。
そう。やはり最後にものをいうのはおっぱいだ。
癒しもいい。
資格もいい。
だがやはり大事なのは……最後にモノをいうのは――おっぱいだ(無道)