<< 【栄養】メスガキ・わからせ・チョコレート
ナイスバディ・バディ >>
ちょこれーと・めいく♥【えいようもある】
2025-02-15 05:53:00
i932702
https://ci-en.net/creator/11836

蒼生大和の調理場。
そこに、夢依の小さな姿があった。普段は生意気でメスガキたっぷりに振る舞う彼女だが、今は表情がまるで別人のように引き締まっている。

「……絶対に成功させるんだから…」
凛とした声で、夢依は自分に言い聞かせるように呟いた。

目の前には材料がずらりと並んでいる。上質なカカオ、天然の蜂蜜、体に優しいナッツやドライフルーツ。それに、栄養価の高いスーパーフードまで揃えてある。
夢依は一つ一つを丁寧に見つめ、手に取り、香りを確かめた。目の奥には強い決意が宿っている。

「あるじさま、いつも激務だもんね。戦いに出て、みんなを守って……すごく疲れてるはず…」

普段、彼の前では見せない優しさが、今はその表情に浮かんでいる。

「……少しでも元気になってもらえるように、甘くて、でも栄養たっぷりのチョコレートを作らなくちゃ」

夢依はまず、カカオを細かく刻み始めた。
包丁を握る手はしっかりとしていて、リズミカルに刻む音が調理場に響く。普段のメスガキらしさは微塵もなく、その動きは実に手際が良い。まるで職人のようだ。

「これくらい細かくすれば、口当たりもなめらかになる……うん、悪くない!」
少しだけ満足そうに微笑むが、すぐに気を引き締め直し、次の作業に移る。

刻んだカカオをボウルに入れ、湯煎にかけてゆっくりと溶かす。

「焦らず、じっくり…温度が大事なんだから…」

カカオが滑らかな液体になるまで、夢依はひとときも目を離さずに慎重にかき混ぜた。

「手、抜けないね…」

自然と体に熱がともる。それでも集中を途切れさせることなく、彼女は一生懸命にチョコレートを作り続けた。

溶かしたカカオに、天然の蜂蜜を少しずつ加える。甘さ控えめで、でもほんのり優しい味わいになるように、分量を何度も調整する。

「……うん。これなら甘すぎない。体にも優しい…疲れた体に染み渡るはず」
次に、栄養価の高いナッツやドライフルーツを丁寧に刻み、チョコレートに混ぜ込んだ。

「……これで栄養もばっちり。いつも頑張ってるあるじさまに、元気を届けられる」

型に流し込んだチョコレートを、そっと冷蔵庫に入れて固める。
その瞬間、夢依は大きく息を吐き、肩の力を抜いた。

「ふぅ……」
いつもの生意気でやんちゃな姿はどこにもなく、そこには純粋に誰かを想い、一生懸命に努力する少女の姿があった。

「……喜んでくれるかな…」
ぽつりと呟きながら、夢依は小さく微笑んだ。

元気になってもらいたい。ただそれだけの気持ちが、夢依の心を温かくしていた。

「絶対に、元気にしてみせるんだから……」

彼女の決意は、誰にも負けないほど強いものだった。
そして、そのチョコレートには、夢依のまっすぐな想いがたっぷりと詰まっているのだった。